「終わった後」に誰と繋がるか? - 終わった人 -
「終わった後」に誰と繋がるか?
今日の読書日記はこの本です。
終わった人
内館 牧子
一度目に本屋さんでこの本と出会った時には、
「いつかは自分も終わった人になるんだよな」と思いました。
次に私がこの本と会ったのは、
「大人の友情」をテーマにした本を探していた時。
読書会で「大人の友情をテーマにします」と宣言したものの、
自分は何の本を持っていくのか決められず、
何度も何度も本屋を歩き回って最後にこの本を見つけました。
「これだ!」と思いました。
「終わる = 定年退職した後の友達」
をテーマにこの本を読もうと思いました。
「終わった人」の主人公、田代壮介は銀行員。
エリートコースまっしぐらの人生だったのに、
ある時出向を命じられそして転籍。
63歳で定年退職したところから話は始まります。
定年退職してから、田代壮介が誰と出会ってどんな風に時間を過ごしていくのか。
定年退職後の「あるある」であろうお話から、
「ちょっとこれは出来すぎの話じゃない?」というストーリーに展開。
やっぱり小説だなって思いながら中盤は読みましたが、
後半から「壮介どうなる?」と思いながら読みました。
「人は必要最低限のお金しか持たなくなると本当のことが見えてくる」
後半はそんなことを思いながら読みました。
私が思うこの小説のキーワードは、
- 友達
- 仕事
- 家族
- 恋愛
- お金
仕事ってやっぱり自分の人生の中では大部分を占めると思うけど、
「会社にいること = 仕事」と考えるのはやっぱり違うのかなと
思いました。
会社という組織にいると、そこで守られているものも大きくて、
気づけないところがたくさんあると思います。
会社という組織を離れた時に、自分がどうありたいのか?
それをベースに考えることが大切だし、
そのベースで自分が日々を過ごせている時は、
仕事でのパフォーマンスがあがるし、
体調もよくなるし、ご縁も広がったりする。
自分は数年前、体調を崩したことがきっかけで、
一度会社という組織から離れ、
当たり前だと思っていた生活を無くしたけれど、
あのことがあったから今、
この時を大切にして生活できているんだろうなと思います。
家族がいる・仕事がある・お友達もいる
というのは、当たり前であって当たり前でないこと。
そして昔からの友達がいかに自分を支えてくれるかということ、
「大人の友情」をテーマに読書会でいろいろと話したからこそ
この小説を読み終わった後の想いが深くなった気がしました。
昨日何年ぶり・何十年ぶりに学生時代の友人に会いました。
学生だったみんなが大人になり、それぞれの道を歩いてきて、
みんなとてもとてもいい顔になっていて、
でも、ベースはちっとも変っていなくて、
話も楽しくて楽しくて仕方なかったです。
大人じゃなかった時にできたご縁がずーっと続いていくこと、
これも大人の友情のひとつの形なんだなと思えた時間でした。